日本の手仕事を訪ねて|奈良発、“暮らしを変える靴下” エコノレッグ
奈良県・大和高田市。
昔から靴下づくりが盛んなこの地域に、「靴下で暮らしが変わる」を掲げる工場があります。
旅サラダストアでご紹介している「疲れしらずのくつした®」をはじめ、数々の特許技術を活かした高機能靴下を生産する株式会社エコノレッグ。
今回は、その靴下づくりの工場を訪ねました。

工場内に並ぶ、約80台の編み機。
円を描くように並んだ針へ糸が送り込まれ、靴下が少しずつ形になっていきます。

機械のそばでは、スタッフが糸の状態や編み上がりを確認しながら、細かな調整を続けていました。

今回お話を伺ったのは、株式会社エコノレッグの矢羽野さん。
“疲れしらずのくつした®”がどのように生まれ、どんな人たちの手で作られているのか。
奈良のものづくりの背景とともに、お話を聞きました。
奈良が「靴下生産日本一」になった理由
実は奈良県は、日本国内で生産される靴下のおよそ60%を担う、日本一の靴下産地。
その背景には、この土地ならではの歴史があるといいます。
「奈良は海がなくて、水も少ない地域なんです。稲作に適さないので、昔は綿花栽培が盛んだったんですが、海外から安い綿花が入ってくるようになって、だんだん衰退していって」
そう話す矢羽野さん。
綿花産業の流れを受け継ぐように、奈良では靴下づくりが発展していきました。
かつては、“編む”・“縫う”・“仕上げる”といった工程を地域全体で分業していたそうです。
「昔は、家に編み機が2台あるような家も多かったって聞いています」
地域全体で技術を積み重ねてきたからこそ、今も奈良には高い技術力が残っています。

一方で、長年OEM生産を中心にしてきたため、“奈良の靴下”という名前が表に出る機会は多くありませんでした。
そんな中、「自分たちの技術を、自分たちの商品で届けたい」
その想いから生まれたブランドが、「エコノレッグ」でした。
“工場ソックス”から始まった開発
エコノレッグを代表する商品のひとつである「疲れしらずのくつした®」。

疲れしらずのくつした® ロング丈
実はこの靴下、もともとは“工場ソックス”という名前で開発が始まったそうです。
きっかけは、東大阪の工場から寄せられた相談でした。
「安全靴でも疲れにくくて、破れにくくて、臭いにくい靴下を作ってほしい、という依頼だったんです」
立ち仕事が多い工場では、床にクッションマットを敷いて作業する人も多いのだとか。
それほど、“足の疲れ”は深刻な悩みでした。
「疲れにくい、破れにくい、臭いにくい。その全部を満たしたかったんです」
約2年にわたる試作と改良を経て生まれたのが、“工場ソックス”。
右足と左足で形状を変え、足裏アーチを支えるクッション編みの独自構造は特許も取得しています。
「工場の方に何度も履いていただいて、アンケートを取りながら調整していきました」
“工場ソックス”から「疲れしらずのくつした®」へ
最初の“工場ソックス”は、グレー、ネイビー、黒の3色展開。
完全に“現場向け”の商品だったそうです。
ところが、試作品を履いた女性や立ち仕事の人たちから、予想以上の反響がありました。
「これは工場だけじゃなく、もっと幅広い人に必要とされるかもしれない」
そう感じたエコノレッグは、もっとこの靴下を知ってもらおうと、ブランド名やデザインを見直すことに。
ロゴやカラー展開を一新し、“まずは手に取ってもらうこと”を目指したブランドづくりが始まりました。
こうして誕生したのが「疲れしらずのくつした®」です。


工場に隣接する直営店には、エコノレッグの靴下がずらりと並ぶ
鮮やかなイエローやピンク、ブルーなど、売り場でパッと目を引く色合いも意識。
「黒が一番売れるんです。でも、カラフルなものが並ぶと、お客様が足を止めてくださるんですよね」
その後、百貨店のポップアップなどを通じて、少しずつリピーターも増えていったそうです。

「旅行の時はこれしか履かない、って言ってくださる方もいて」
旅行や立ち仕事など、“たくさん歩く日”の靴下として、愛用者が広がっていきました。
何人もの手を経て生まれる靴下
現在、エコノレッグの靴下製造を担う工場には約35人のスタッフが在籍。
工場内に並ぶ約80台の編み機。
企画側が作った“柄書き”と呼ばれる編み図のようなデータをもとに、
・糸の種類
・編む速度
・編みの密度
・テンション
などを調整しながら、靴下を編み上げていきます。
その編み機の間を行き来しながら、糸交換や編み上がりの確認を行っているのが、“編み立て補助”と呼ばれるスタッフたち。

編み上がった靴下は、一足ずつ人の目で検品します。


糸の飛び出しや編みムラがないか。
履き心地に影響する違和感がないか。
ひとつひとつ靴下を確認しながら、丁寧に確認していきます。


「靴下って、こんなに手間がかかってるんだって、工場見学で驚かれる方も多いんです」
何人もの手を経て、一足の靴下が完成していきます。
旅の翌日を、少し軽やかに
旅では、思っている以上によく歩きます。
観光地を巡ったり、駅の階段を上り下りしたり。ホテルへ戻る頃には、足が重だるく感じることも。
「その疲れ方が少し変わるだけで、翌日の幸福感って変わると思うんです」
矢羽野さんのその言葉が、とても印象に残りました。
「疲れしらずのくつした®」は、
日常にも、旅にも、毎日履ける靴下です。
たくさん歩く日。
長時間移動の日。
誰かへ“お疲れさま”を贈りたい日。
奈良の工場で、今日も一足ずつ編まれている靴下には、そんな毎日の足元を少し軽やかにする工夫が詰まっていました。


